ピントは「彼」に合わせるか「バイク」に合わせるか
遠近法を使った撮影において、我々を悩ませる最大の難問。
それが「ピントの置き場所問題」です。
手前のフィギュアに合わせれば背景のバイクはボケてしまい、バイクに合わせれば手前のフィギュアがただのピンボケした異物になってしまう。
しかし、数々の失敗を重ねて辿り着いた私の結論は、ピントは絶対にフィギュア(手前)です。
なぜなら、写真を見る人の視線は、最も解像度の高い部分に吸い寄せられるから。
フィギュアの瞳や表情にガチッとピントが合っていることで、この小さな相棒の視点で世界を見ているような没入感が生まれるんです。
逆に、背景にある愛車は、あえてボカすことで頼れる背中のような存在感を醸し出します。
「俺が連れて行ってやるよ」と言わんばかりに佇むバイクのシルエットと、それを信頼しきっているフィギュア。
この関係性を表現するには、背景のボケ味こそが重要なんですよ。
クッキリ写すだけが写真じゃない。
空気を撮るためには、あえて情報を削ぎ落とす勇気が必要なんです。
iPhoneの「ポートレートモード」という名の魔法
「でも、一眼レフとか高い機材が必要なんでしょ?」と思った方もいるかもしれません。
今の時代、我々のポケットに入っているiPhoneこそが最強の武器なんです。
特に活用すべきなのが、標準搭載されているポートレートモード。
これがもう、フィギュア撮影のためにあるんじゃないかと思うほど優秀なんですよ。
使い方は簡単。
フィギュアをガードレールや岩場などの台に立たせ、バイクを数メートル後ろに配置します。
そしてiPhoneを構え、画面内のフィギュアをタップしてロックオン。
ここで重要なのがf値(被写界深度)の調整です。
画面右上の「f」マークをタップし、スライダーをグリグリ動かして背景のボケ具合をコントロールするんです。
f値を小さくすればするほど背景はトロトロに溶け、フィギュアが浮き上がってくるような立体感が生まれます。
さらにスタジオ照明のエフェクトを加えれば、顔の陰影が強調され、哀愁漂うドラマチックな一枚の完成。
この機能開発者は絶対にオタクだと思いますね。
撮影後にボケ具合を再調整できるのも神仕様。
帰りのPAでコーヒーを飲みながら、「もう少し背景をボカそうかな…」なんて微調整している時間もまた、至福のひとときなのです。
広大な絶景と小さな1体の対比が生む旅の物語
撮影場所として選んだのは、空と海が広がる見晴らしの良い展望台。
この圧倒的な広さとフィギュアの小ささの対比こそが、写真にドラマを生むスパイスです。
巨大な自然、そして鉄の塊であるバイク。
それらと対峙する小さなフィギュアの姿は、見ている人の想像力を強烈に刺激します。
風でフィギュアが倒れないように足元を両面テープで固定し、自分が地面に這いつくばってローアングルから狙う。
周りの観光客からは「何やってんだあの人…」という冷ややかな視線を感じることもありますが、そんなものはファインダー越しの世界には届きません。
最高の一枚が撮れた時の脳汁が出る感覚、そして神ショットをSNSにアップした時の反応。
これだから、フィギュアとバイクの旅はやめられないんです。
あなたも今度のツーリング、タンクバッグに「小さな相棒」を忍ばせてみませんか?
いつもの景色が、きっと違って見えますよ。

