全部大事は「全部どうでもいい」の始まりかもしれない
部屋のドアを開けた瞬間、雪崩のように崩れ落ちてくるカプセルの山。
机の上を占拠し、埃を被りつつあるフィギュアたち。
「いつか飾ろう」「いつか撮ろう」と思って積み上げたコレクションが、いつしか生活スペースを圧迫し、さらには心の余裕まで奪っていく…。
コレクターなら誰もが一度は直面する飽和状態です。
僕も以前は、手に入れたすべてのアイテムが宝物だと信じて疑いませんでした。
しかし、物理的なスペースには限界があります。
何より、数が多すぎると、本当に大切にしたい推しが埋もれてしまい、愛着が分散してしまうことに気づいたのです。
全部大事と言いながら、奥の方にあるフィギュアの存在を忘れてしまっているなら、それは「全部どうでもいい」と思っているのと紙一重かもしれません。
そこで僕は、心を鬼にして断捨離(選抜試験)を行うことにしました。
目指すのは、少数精鋭の「1軍」だけで構成された、最強のコレクションルーム。
今回は、僕が実践している、絶対に後悔しないための厳しい選考基準をご紹介します。
第1次試験:究極の質問「愛車と一緒に撮りたいか?」
僕の選抜試験において、最も重要かつ残酷な判断軸となるのがこれです。
そのフィギュアを手に取り、自問自答します。
「今度のツーリングに、こいつを連れて行きたいか?」
「愛車のタンクやシートに乗せて、シャッターを切りたいか?」
答えがYESなら、文句なしの1軍残留。
逆に、「うーん、造形は良いけど、バイクとは合わないな」「外に持ち出すほどではないな」と一瞬でも躊躇した場合、それは残念ながら2軍、あるいは戦力外通告の対象となります。
なぜなら、僕にとってフィギュアは単なる観賞物ではなく、バイクライフを彩る相棒だからです。
以前紹介したように、旅先で遠近法を使って撮ったり、タンクの曲面に映り込ませたりして遊ぶことが、僕の最大の楽しみ。
オモ写の被写体としてイメージが湧かないものは、結局のところ棚の奥でホコリを被る運命にあるのです。
「レアだから」「高かったから」という市場価値は一切無視します。
300円のネタ系ガチャであっても、愛車の横に置いた時に物語が生まれるなら、それは僕にとって何万円ものスタチュー以上の価値があるのです。
バイクというフィルターを通すことで、今の自分に本当に必要なモノが驚くほど明確に見えてきますよ。
第2次試験:箱入りのままの未開封は愛ではない
次にふるいにかけるのが、もったいなくて開けられないと箱やカプセルに入れたまま保管しているアイテムたちです。
コレクター心理として、未開封=保存用として取っておきたくなる気持ちは痛いほど分かります。
しかし、自問してみてください。
「そのフィギュア、最後に顔を見たのはいつですか?」
箱に入ったまま積み上げられ、パッケージの日焼けを気にして暗所に押し込められている…。
それは果たして、フィギュアにとって幸せな状態と言えるでしょうか?
僕の結論は「NO」です。
フィギュアは飾って、触って、いろんな角度から眺めてこそ輝くもの。
もし開ける勇気が出ない程度の熱量なら、それはきっと所有すること自体が目的になってしまっています。
そうした箱入り娘たちは、思い切って手放し、ガシガシ開封して遊んでくれる別のコレクターの元へ嫁がせるのが、双方にとってのハッピーエンドです。
メルカリや買取店に送り出す時は、少し寂しさもあります。
ですが、「今までありがとう、新しい持ち主のところで輝いてこいよ」と送り出すことで、不思議と肩の荷が下りる感覚があるのです。
手元に残すのは、箱を捨ててでも、傷つくリスクを負ってでも、裸で愛でたいと思える本気の相手だけでいいのです。
選抜後の世界:精鋭たちが輝く余白の美学
過酷な選抜試験を勝ち抜いた1軍フィギュアたちの数は、断捨離前の3分の1以下に減ってしまいました。
しかし、部屋の景色は劇的に変わりました。
DIYで作った棚には十分な余白が生まれ、一つひとつのフィギュアがまるで美術館の展示品のように生き生きと輝いています。
以前は数に埋もれて気づかなかった造形の細部や、表情の豊かさが、余白があることでハッキリと目に入ってくるのです。
そして何より、部屋がスッキリしたことで、心に圧倒的な余裕が生まれました。
「次はどの子をツーリングに連れて行こうか」と考える時間が、以前よりもずっと楽しく、濃密なものになりました。
掃除も楽になり、万が一の地震の際のリスクも減る。
モノを減らすことは、決して喪失ではありません。
本当に好きなモノへの愛着を濃縮する作業なのです。
もしあなたが、溢れかえるコレクションに息苦しさを感じているなら、一度選抜試験を行ってみてください。
きっと、あなただけの最強の1軍が見つかるはずです。

